衒学ポップ :\ MnB \ ある商人の物語 #18




追う側と追われる側の立場が、入れ替わったわけである。私は剣を掲げて見せ、叫んだ。
「ノルド軍が戦闘に参加するまで、持ちこたえるぞ! そうすれば、私達の勝ちだ!」
海賊達はすぐに逃げ出すかもしれない、と私は考えていたが、彼らは逆に、こちらへと向かう足を、更に速めた。どちらにせよ逃げ切れないと思ったのかもしれないし、或いは死をも恐れぬ戦闘集団の信念が、そうさせたのかもしれない。



戦闘が始まる直前、私は確かに聞いた。海賊の一人が、こう叫ぶのを。
「行商人は殺すなよ! 賞金がパアになっちまう!」


























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