衒学ポップ :\ MnB \ ある商人の物語 #14






クダンには何の問題も無く辿り着いた。むしろ、これまでで一番快適な旅だったかもしれない。歩兵達は、限られた食糧を最大限に活用する方法を知っており、行商中にしてはなかなかの晩餐が楽しめた。



クダンで道具屋を営むタネリ氏は気さくな人で、割引証書の内容よりも更に割引して下さった。支払ったのは千デナールだが、手に入った毛皮の価値は、それよりも数百デナールは上だ。これをノルド王国西端の街、ティールで売れば、結構な利益が見込める筈だ。



旅は順調に進んだ。順調過ぎると言うべきだろう。私達は雪原を抜け、ヴェイジャー最北西の城へと差し掛かった。ヴェイジャー王国とノルド王国は、この先のサルゴス川によって完全に隔たれている。渡るには橋を使わざるを得ず、どうしても進行ルートは限られてくる。もしも山賊達が攻撃を仕掛けてくるとすれば、ここに違いなかった。



私はヤルモさんの助言を受け、元は狩人だったという歩兵、ヴァジに、斥候をさせることとした。





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