衒学ポップ :\ MnB \ ある商人の物語 #16
















待ち伏せされていたことは明らかだった。一部隊を退けても、海賊達は次から次へと際限なく現れる。我々は疲弊し、歩兵の何名かが重傷を負った。内一名はしばらくして、馬車の荷台の上で息を引き取った。



おそらく敵の主力なのだろう、三十人以上いるだろうか、かなり大規模な海賊の部隊と遭遇した。私は決断しなければならない。荷を捨てるか、命を捨てるかだ。しかしヤルモさんは、第三の選択肢を提案してきた。
「我らがここで奴らを食い止めます。貴方だけでもお逃げなさい」
三倍ほどの数の敵を食い止めることが出来る筈が無い。彼が言わんとしているのは、つまり歩兵を捨て駒にするということだ。ちょうど、先の戦争で、ルディン卿が彼らに命じたのと同じように。





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